わたしは宿無し

母はかつて働き者でしっかり者だった。そんな母はある日突然爆発し、今では正社員からパート勤めになり、仕事はそこそこ、家には帰らず、遊びまわって充実した日々を送っている。母の数十年に及ぶ行儀のよろしい姿を見ていた私からすると、母が楽しそうにしているので何も文句はない。そんな母から子供のころ教えてもらったことの数々をふと思い出した。

 

ある日、母は男性用パンツの畳み方を教えてくれた。「お父さんのパンツはね、こう畳むの。三つ三つでチ●ポを挟む」。何のことやらわからないと思うので、想像力豊かにして続きを読んでいただきたい。

 

パンツ平置きし、一方の端ともう一方の端を順番に中央に折りたたんで三つ折りにする。縦長になったところでウエスト部分を三分の一折り、次にチ●ポ部分(裾もしくは股ともいう)を三分の一折り、ウエスト部分に入れ込む。収まりが美しく、コンパクトで引き出しにしまいやすいのが大変よい。今、夫のパンツは私によって「三つ三つでチ●ポを挟む」システムに則って畳まれている。

 

別の日には、夕飯を作りながら歌を教えてくれた。

 

わたしは宿無しで

一文無しだけど

心は朗らかです

(エンドレスリピート)

 

母と私はこれを輪唱しながら一緒に夕飯を作った。今でも一度脳内にこの曲が流れたら最後、しばらくはエンドレスリピートとなり、少し寂しいような、懐かしいような気分になる。当時と違うのは、一緒に輪唱してくれる人がいないということだ。

 

母からはもっと人生において大切なことを学んだはずなのだが、どうしてチ●ポと宿無しの事しか思い出せないのだろう・・・。どうしちゃったのだろう・・・。

 

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The 不健康な食事