ほんとワヤだわ

虫が嫌いすぎる。どれくらい嫌いかというと、仕事帰りに地下鉄に乗っていたら誰かのスマホの着信音が鳴ったのだが、その着信音が鈴虫の鳴き声で、頭では着信音と分かってはいるものの、恐怖で腕のムダ毛が逆立つくらいとにかく虫が嫌い。

 

 

家に帰ったら帰ったで、ベランダに干していた洗濯物を取り込もうとしたら、またカメムシが来訪しており、その日に限って夫はいつ帰って来るか不明。放置するという選択肢がないことはないが、うちのベランダに来たが最後、虫は生きては帰れないのだった。

 

夫のように生きている状態で掴むことは無理である。私にできることといえば、急いで湯を沸かして、カメムシにかけること。熱湯をかけられたカメムシはひっくり返って手足をバタバタさせたので、虫そのものに対する恐怖と、虫が襲ってくるんじゃないかという恐怖と、目の前で虫とはいえ生物が苦しんでいる恐怖の三つの恐怖に押しつぶされるかと思った。

 

私は悪くない、うちのベランダにやってきたカメムシが悪いんだ、と自分を奮い立たせ、震える手でもって再度熱湯をぶっかけたらとうとう動かなくなった。それからひとまずおのれを落ち着かせるため、そして本当に死んだかを確認するために、一度部屋に入り、窓からカメムシを眺めた。

 

ピクリとも動かないので120%死んだことが確定。だが、そのままベランダに放置するわけにもいかない。トイレに流すため、ゴム手袋を装着し、トイレットペーパーで動かなくなったカメムシを掴んだのはいいが、トイレまで運ぶ間、トイレットペーパーの中でカメムシが意識を取り戻し、最後の力を振り絞って動いているような気がして、発狂しそうだわ、ちびりそうだわで、最後まで一人でワヤなのだった。

 

 今年はカメムシが大繁殖しているらしいと夫が言っているが、私は断じて信じない。

 

f:id:momosjournal:20190929161617j:plain

旅に出たい。