ホワイトチョコレート事件

ある日の午後。夫は勉強しているふりをしてゲームをしたり、体を前後に大きく揺らしながら寝ているのか寝ていないのかよく分からない次元にいた。そのころ私はというと、ソファに寝ころび本を読みながら同じく寝ているのか寝ていないのかよくわからない次元にいた。たぶん、この家まるごと次元がどこか違うところに飛ばされていた、そんな日の午後。

 

郵便配達員さんがインターフォンを鳴らした。夫がまだかまだかと首を長くして待っていた愛するプロテインがとうとうやってきたのである。ウキウキしながら10kgものプロテイン様を受け取る夫。

 

箱を開ける前からただようホワイトチョコレートの香り。海外製だから香りがキツめなようだ。

 

しかし、箱を開けると中がホワイトチョコレート味のプロテインの粉まみれになっていた。一緒に注文したチョコレートブラウニー味の袋が、ホワイトチョコレートの粉にコーティングされているという超甘い状況に唖然とし、落ち込む夫。そこまでの夫のプロテイン愛に唖然とし、落ち込む夫に呆れる妻。

 

さらに、ホワイトチョコレート味の粉が中で破裂していたダンボールはなぜか穴が開いていて、部屋に運び込むまでに家中に粉をまき散らしていた。7:00に起きて掃除されピカピカだった家が数時間後には粉まみれ。

 

悪いことは続くものだ。掃除機でホワイトチョコレート味の粉を吸ったところ、掃除機の排気から出る風がまさかのホワイトチョコレート臭がするではないか。これは悪夢のカレー粉を掃除機で吸った後、何か月もにわたり、掃除機からカレー臭がしたカレー臭事件の再来である。

 

掃除機を分解し念入りに洗っても洗ってもカレーのにおいはとれず、何か月にも渡り我が家をインドレストラン風にしてくれた。今回はホワイトチョコレート臭であるだけまだマシか。家の中が甘ったるい・・・。

 

我が家は甘ったるいホワイトチョコレートの香りと、落ち込んだ夫のどんよりしたオーラと、掃除をしたのに汚された私の怒気で、ぐるぐるになっている。

 

 チョコレートブラウニー味のプロテインがどうなっているかというと、私がこれを書いている真横に置いてあり、威圧感があって非常に邪魔。早く所定の場所に片付けて欲しい(そんな場所どこにもない。どうするつもり)。