おじさんからの林檎

りんごが届くのを待っている。以前の職場で知り合ったおじさんが、私のことをいたく気に入り、毎年お菓子やさくらんぼや甘酒や商品券やりんごやらを送ってくれるのだ。私が退職した後も、おじさんはなぜか私に色々なものを送ってくれ、もう送ってもらう義理も無いので送らないで欲しい、と断ったりもしたが、人の話を聞くのが苦手な人なので相変わらず送ってくる(失礼)。

 

はじめこそお返しを送ったりしたが、それもだんだん面倒になり、お返しを送らなくなってもおいしい食べ物を中心に送ってくれるので、「私がお返しを送っている」という誤った記憶がおじさんの頭の中でねつ造されますように、と願いながら有難く受け取り、おじさんの望み通り夫とおいしくいただいている。季節外れのサンタみたいなおじさんなのである。

 

そんなおじさんが「りんごを送ったからご主人と食べて」とメールを送ってきたのは一週間前のこと。もういいのに、と言いながらも、りんごを待っている。おじさんが送ってくれるりんごはとても美味しいのだ。蜜がたっぷり入ってて、謎に半年くらい日持ちするスーパーりんごなのだ。

 

 おじさんに連絡をして「いつ送ったんですか」「宛名間違ってないですか」と聞くのは、非常識なことばかりかましている私でもさすがに気が引けるので、首を長くして待っているのに、一週間たっても送られてこない。おじさんもついにボケてしまったのだろうか。確かものすごくおじいさんだった気がするが(失礼)。

 

 昨日など、宅配業者が来たので「おじさんからのスーパーりんごが届いたよー!わーい!」と喜んだのに、届いたのはただのシャンプーで、まあ注文したのは自分なんだけど、シャンプーはシャンプーで必要なんだけど、でも本当に待っているのはおじさんのりんごで、そのりんごは今一体どこなんだっつー話なわけ。まじで。

 

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おじさんからりんごが届かないので、スーパーでりんごを買ってベイクドスライスアップル(?)を作った。