白髪があろうが、化粧してなかろうが

なんだか人目が気になる朝。仕事へ行くため家から駅に向かっていると、いろんな人に見られている気がする。頭に巨大蜘蛛が乗っているか、スカートがパンツに挟まっているか、シャツのボタンを閉め忘れたか、靴を履き忘れてスリッパのまま出てきたか、とかそんな妄想に駆り立てられながら駅に到着。

 

蜘蛛は乗っていないだろうし、スカートはパンツに挟まってないだろうし、ボタンは閉まってるだろうし、スリッパではなく靴を履いているだろうけど、心配なので一応鏡で身だしなみチェック。妄想は全て否定されたが、代わりにそこには光り輝く白髪が一筋あったのだった。そして自意識過剰の称号。

 

右のハチの部分に白髪が生える傾向にあるのは知っていたが、もみあげに白髪があるとは思ってもみなかったのでかなりショックである。さっきまで気になっていた人目を気にしている場合ではない。とりあえず今すぐに、もみあげに生えているにっくき白髪を抹殺しなくてはならない。

 

だがもみあげの白髪はしぶとい。右手で鏡を持ち、鋭い眼光で鏡を見据え、左手で白髪のみを掴み、引っこ抜く。それだけなのに、指は思う通りに白髪を捉えないし、鏡越しに右のもみあげ付近を見続ける事がこんなにも難儀であったとは。

 

結局、どうせ誰も私のことなんか見ていない、と開き直ることにした。さっきまであれだけ気にしていた人目のことなんかもはやどうでもいい。現に、職場は老眼の人ばかりだから、私の白髪どころか化粧していなくても気づかれないことだろう。

 

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そんな日のお弁当は魚肉ソーセージ炒飯。なぜならば、魚肉ソーセージと卵と冷凍白米しかなかったから。

そして家に帰って速攻抜いてやった。一日中、もみあげの白髪を忘れることはなかった。