ホーチミンTシャツ

夫が着るTシャツに文句を言うのをやめてどれほど経っただろう。私が「変!そんなの着てる人と一緒に歩きたくない!」と言えば言うほど、夫は興奮して変なTシャツを買い、喜んで着るのである。 

 

そんな夫のここ一年ほどヘビロテしているのがホーチミンTシャツである。旅先で変なTシャツを買うのが好きな夫。ホーチミンTシャツは、ベトナムはハノイで値切って買い、洗っても縮まない最強Tシャツである。縮めばいいと思っていた私をよそに1ミリも全然縮まない。さすがホーチミン。

 

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とはいえ、最近は歳をとってようやく羞恥心が芽生えたのか、部屋着として着るくらいであった。だがこの日、郵便局とスーパーに行くのに部屋を出て、エレベーターに乗り、鏡をみると、そこに立っているのはホーチミンTシャツを着て、Tシャツのホーチミンのように微笑む夫。


こんなに素敵なTシャツを世の中の人に見せないのは惜しいと思ったのか、外に着て行きたい気持ちを抑えることに嫌気がさしたのかは分からない。だが、堂々とホーチミンTシャツを着こなし、郵便局へ行き、スーパーで買い物する夫はどこか輝いて見える。


そしてすれ違う人にじろじろ見られることに快感を得ているのだった。「きっと筋肉見てるねん、ホーチミンを見ているわけやない」と謙遜して言うけれど、人々の顔を見ろ、笑いを堪えてるのをちゃんと見ろ。

 

もっと鈍感力身につけないと早死にするで、とアドバイスを頂きましたが、早死にしたらアンタのせい。