くたびれパンツ

また拉致られてプールに行った。もうプールは私の中では終わっている。だが友人の中では終わっていないらしく、毎週懲りずに誘ってくるので、優柔不断な私は三週間に一回くらい、だらだらしたい気持ちを押し殺して泳ぐのだ。

 

だから私はプールではいつもより気が立っている。その日は更衣室が子どもたちでいっぱいだった。泳いで、シャワーから出て、ほぼ裸で一刻も早く服を来たい私のロッカーの前にも、もちろん子ども。

 

とりあえずパンツだけは、と思いロッカーからパンツやその他諸々を出して、子どもたちの群から離れた。そうすると「なんか落としましたよ!」と子どものお母さんに言われたので振り返ると、私のパンツが、ビショビショの床の上に、生気を失ったかのように、ぐでんと落ちていた。

 

他人がどんなパンツを履いていようが私としてはどうでもいいので、他人には私がどんなパンツ履いていようが意見を持たないで欲しいのだが、私のビショビショの床の上に落ちて濡れ、いつになくくたびれたベージュのパンツを見た、そのお母さんの顔を決して忘れることはないだろう。

 

私に向けられたその顔がどんなだったかを書き記すと、傷口に塩を塗るようなことになり私のガラスのハートが修復不可能になっては困るので、細かいことは差し控えさせていただきたい。だが、述べるとするなら、パンツを新調しようと思わせるような、そしてその母親の顔に私の濡れそぼったくたびれパンツを投げつけてやりたくなる表情であった。

 

f:id:momosjournal:20190521194528j:plain

私のパンツの写真を載せる訳には行かないので、カレーパーリーに行って食べたカレーを代わりに。