システムと交換条件

義父がうちの近所に来る用事があるとのことで、昼ごはんでも食べへんか、とお誘いの連絡が来た。私は、過去の諸々の経緯により、よっぽどのことがない限り夫の家族には絶対に会わない、というシステムの元に生きているので、義父と食事を共にすることはできない。

 

このシステムのことを夫も認識しているはずなのだが、この日の夫は一味違った。しつこく誘ってくるのである。「なんでや!おいしいもん食べさせてもらおうや」「いや、食べたくない。自分だけで行って来て」「モモちゃんがおらんかったら俺もオトンも寂しいやん」「うそうそうそうそ。化粧したくないし、服も着替えたくないし、テレビの前から動きたくないし、何よりあなたの家族に会って気分を害されるのは嫌」という感じで、何度もこれ以上ないほどキッパリと断るも、食い下がって来るので、義父に会う代償として交換条件を出してみた。

 

①モモコに誠心誠意土下座をする ②おのれの髪の毛を30本抜いて献上する ③モモコにおヘソをぐりぐりさせる ④モモコに肛●を見せる

 

どれもこれも夫に何度もお願いしても決して実行してくれないことばっかりだ。特に肛●を見せることは極度に嫌がる。肛●を見せても減るもんじゃあるまいし、年頃のティーネイジャーでもあるまいし、なぜそこまで嫌がるのか。見せてと言い始めた頃は別に見たくもなかったのだが、頑なに拒否され続けると、一体どのような風貌をしているのか、大変興味をそそられる。

 

土下座は私を馬鹿にしてるとしか思えない変な土下座しかしてくれたことはないし、おヘソはとにかく触られたら痛いらしい。髪の毛は薄毛を気にしているので一本一本がとにかく大事なのだそうだ。知らんがな。

 

結局、四つも提示した交換条件の一つも飲むことはなく、夫は一人さみしく義父に会いに行った。後で気づいたのだが「土下座しろ」「肛●見せろ」などという最低な言葉の数々を、割と大きな声で繰り返し言っていたので、たぶん近所に聞かれてる。引っ越したい。