撲滅運動

マンションの共用部分で犬を抱っこせずに歩かせているおばはんを見かける。住み始めた頃からひそかに「共用部分で犬を歩かせる飼い主撲滅運動」に励んでいるが、撲滅への道は遠く険しい。マナー違反の飼い主を見かけては声をかけ、管理人へ通報する日々・・・。奴らは、見かけても何とも思わない人間(夫)の前には姿を現さないのに、見かけるとイライラする人間(私)の前には頻繁に姿を現す。それが余計に私を苛立たせる。今となってはなぜ一人、こんなしょうもない運動に励んでいるのかも分からない。腹が立つだけなのに。たしか同じ階の最近見かけない臭い犬が原因だったような気もする。

 

とにかく、このおばはんを見かけるのはもう三度目である。見かけるたびに管理人に通報し、注意喚起の張り紙を貼ってもらったりしているが効果はない。マンションの敷地内は全て自分の専有部分だと勘違いしているか、自分の犬は世界一可愛いから何しても許されると勘違いしているか、治外法権が与えられていると勘違いしているか、張り紙を読まないタイプか、文字が読めないのか、そんなところだろうと睨んでいる。

 

いつものように管理人のおじさんに知らせに行ったら「いつもの帽子をかぶった年配の女性ですよねえ。僕も何度も注意してるんですけどねえ。キョトンとした顔をするだけで改善されなくてねえ」と困り顔。

 

おじさんの困り顔に、危うく「そうですか、それならしょうがないですね」と引き下がりかけたが「共用部分で犬を歩かせる飼い主撲滅運動」をはじめたからには簡単に引き下がるわけにはいかない。おじさんには申し訳ないが、引き続きどうにか対応してもらうしか方法はない。

 

という話を背中をマッサージしてもらう最中に整体の先生にしたら「もうこれは飼い主が死ぬか、犬が死ぬかしかないですねえ」と斜め上の解決方法を提示してくれた。そんな殺生な。

 

私としては、誰かが死ぬ以外の方法で近いうちに解決されることを願っている。手始めにおばはんがマナーを守るようになるとか。