聞いても無駄なこともあります。

会社であまり喋ったことがない人に「なんで12月からも終業時刻の18時までじゃなくて、16時までしか働かないんですか?」と突然聞かれる。あまりにも唐突だったので、「じゃああなたはなぜ18時まで働いているんですか?嫌じゃないんですか?どうやって耐えてるんですか?家に帰ったらものすごい遅い時間だと思いますけど、家事とかどうされてるんですか?眠くならないんですか?集中力持ちますか?」と質問返しすることも「余計なお世話だババア、引っ込んでろバーロー」と威嚇することも叶わない。

 

特に理由ないとか、長時間働くと疲れるからとか、早く家に帰りたいからとか、夫が待ってるからとか(嘘)、家事があるからとか、いっぱい寝たいから、という、私の本音を正直に話したところで、理解してもらえるわけはないし、ほぼ初対面の人に「コイツ正気か?」と思われるのも嫌なので、何と答えたらいいのか大変迷う。

 

適当で当たり障りのない大人が言いそうな答えが見つからないまま、無残にも時間は過ぎていく。微妙な沈黙に耐えられなくなり、つい「なんでって・・・世界平和のため・・・ですか?」と、考えられる中で最も意味不明なことを口走る。しかも疑問形。

 

だが、意味不明な答えがいい働きをしてくれたようで、どう受け取っていいのか理解しがたい笑みを残して、彼女は私の元を去っていかれた。人には聞かれたくないことや、聞いても無駄なことがあるんだよ、ということを彼女に教えられたと思う。

 

とはいえ、私は超のつく真面目な人間なので、こういう場合にどうやって答えたらベストなのかを考えながら、帰り道に階段を登っていたところ、あろうことか歩き方をド忘れし、おのれの短い足にからまり、盛大にこけてしまう。この姿を彼女に見せたかった。そうすれば、16時まで働いたからこけただけですんだんですよ、18時まで働いたら階段から転げ落ちていたんですよ、分かりましたか、と身を挺して教えられたのに。きっともう私に話しかけてくることはないと思うので、教えられるチャンスが訪れることはないと思うと、残念でしかたがない。

 

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この一輪のバラのように、たくましく生きて行こう。