新しい家族

一代目ダイソンがとうとう逝ってしまった。一代目を迎えたのは、新築マンションを購入したばかりで、金銭感覚が大いにマヒしているときだった。人間という生き物は数千万円の買い物をすると、本当に財布の紐などあってないようなガッバガバの状態になるので、当時八万円もした一代目は「ダイソンが?八万?やっすー!」というようなノリで購入したのである。

 

ところが、友人に「高っ!!!!」とものすごく驚かれ、やっと気づく。掃除機に八万。高いだろう。当時の私の給料の半分ほどである。どこの馬鹿が給料の半分も使って掃除機を買うのかっつー話である。正気の沙汰ではない。だからこそ、元をとろうと必死で使った。それこそ毎日使った。

 

過去に二度壊れたときには修理にも出した。それほど愛してやまなかった。それでも別れの日はやってくるのである。ある日、回転ヘッドが動いたり動かなくなったりしだした。その時は「今日はちょっと調子が悪いだけ」と思うようにした。翌日にも動かなかったが、その時は「私のかけ方が悪いのだ」と思おうとした。でも何日か経って、動いたり動かなかったりしていた回転ヘッドはついに全く動かなくなった。

 

「今度壊れたら新しいのを買う」と常々宣言していたが、その時が来たら優柔不断な私のことだからきっと悩みに悩んでしばらくは回転ヘッドが回転しないまま使うのだろうと思っていたが、いざ本当にその時が訪れた時の私の判断は稀に見る早さだった。きっと心の奥底で「回転ヘッドは回ってこそだろう」と思っていたからだろうと思う。

 

二代目ダイソン。これから我が家をよろしく。

  

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