ガスライト作戦

自慢ではないが、私はよく悩む。先日の動画配信サービスに同時期に三つ加入するかどうかもそうだし、晩ご飯はどうするかという小さい悩みから、あまり関わりたくない知人からの連絡を無視したいが無視したら申し訳ない気もするがでも言うこともないしどうしたらいいかという若干暗いものまで、毎日とてもよく悩む。

 

悩むことは珍しいことでもなんでもなく、みんな何かしら悩みは抱えているもの。そこで登場するのが人生相談。人生相談はおもしろい。相談者の悩みが馬鹿げているという意味ではなく、回答者の斜め上を行く回答が面白いのである。

 

先日読んだ、相談者であるフリーランスで仕事をしている女性が出産したのだが、同じプロジェクトでパートナーのような関係の人に、妊娠についても出産についても話してこなかったが、今さらながらに打ち明けるべきかどうか、という相談の回答は傑作だった。

 

回答者は「前提として嘘はつかない方がいい。こうなったら、パートナーをガスライトするしかない」と助言した。何のことかというと、『ガス燈』という映画にちなんでつけられたガスライティングという一種の心理的虐待があるのだが、それに近いことをするしかない、と回答者は勧めているのである。

 

要するに、この仕事上のパートナーが相談者には赤ちゃんがいるのを知っている体で接するのである。会話の中で自然に赤ちゃんの名前を出してみて、あたかももう既に話したことがあるように仕向ける。もし仮に「誰それ?」と言われたとしても「な~に言ってるの、私の娘じゃない」と言えばいいだけ。普通は相談者の赤ちゃんのことを忘れていたなんて認めることはできないので、パートナーは話を合わせるしかない、というわけだ。

 

夫は「こんなことできる訳あらへんやん、無理があるって」と笑い飛ばしていたが、結構簡単にできることを私は知っている。私が夫に黙って酒をこっそり買ってこっそり全部飲んでまた新しいのを買っていて、夫が「また新しい酒や!飲み過ぎやで」と説教してきたとき「買ってないよ、ずっとあるやつだよ」と反論しただけで夫は簡単に私の言ったことを信じている。大変有効な作戦なのである。

 

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海に行きたい・・・