正義感の強い夫

家族がうつうつとしていたり、生きている意味が分からないと言われることほど困ることはない。といっても、困らせているのはこの私なのだが。どうにかしてあげたいけど、本人にしかどうにかできないところがつらいところである(と夫は思っているはず)。

 

そんな日(どんな日?)。夫がどこで学んできたのか知らないが、「何かあったら、俺が助けたるからな!!」と息巻き、ロープを手にそう宣言した。「だから今から練習台になれ」と。

 

結論から申し上げると、ロープで救助はされたくない。本人は張り切って、ロープを自分や私に巻き付け、これで下におろしてやるだの、私が歩けない場合はこの方法で担いで助け出すだのと言っている。だが、そのロープは助けになど一切なっておらず、ただただ私の関節やら皮膚やら筋肉やら贅肉やらを亡き者にしていることを夫は理解しているのだろうか。

 

練習台にされているだけでもこんなに痛くて苦痛なのだから、救助されている間に痛さで悶絶し、気を失うだろう。いや、いっそのこと、先に気絶させてから救助でも何でもしてくれ、と言いたい。実際言ったのだが、悲しいかな聞き入れてくれない、正義感の強いうちの夫。

 

夫にこんな知識を植え付けたやつはどこのどいつだ。責任をとるためにあなたこそが夫の練習台になれ。

 

そんな夫は翌日、「バーイ、サムスン」と言い、仕事へ行った。たぶん、本人が言いたかったのは「バーイ、ハドソン」だと思う。訂正する間もなく、さわやかに出勤なさった。夫がどこかで恥をかかないことを遠く離れた家から祈っている。

 

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