感動の再会にならず

弟が彼女を連れてうちにやってきた。しかも22時過ぎに。22時といえば、モモコ的にはもう人間は寝る時間だと認識しているのだが、世間ではまだ活動時間なの?早寝なので19時にお風呂に入っていたら、母から電話。弟が大阪にいるからモモコに電話したら違う人の電話番号だった。モモコの番号教えてもいいか、と遠慮がちに聞いてきた。

 

私は10年以上同じ携帯電話番号を使っているのだが、昔は弟とかなり険悪だったから(今も別に仲良くないけど。弟の番号知らなかったし)、適当な番号を教えたのだっただろうか。当時は荒れていた弟に(今も更生されたか怪しいが)、真面目で純朴な姉はとりあえず関わったら人生終わると真剣に悩んでいたからなあ。

 

弟と久しぶりに電話で話し、うちには食べさせるものが何もないので晩ご飯をどこかで食べてから彼女を連れてうちにやってきた。初めて会う年下のちゃんときれいに着飾った女の子の前でくたびれたスウェットをお召しのスッピンアラサーももこ。なんという屈辱。

 

弟に会うのは去年実家に帰った時ぶりである。帰っても特に話すことはないし、15年以上離れて暮らしているので弟といえどもたまにしか会わない親戚というかほぼ初対面の人の感覚。私が人見知りしない人間は夫だけなので、弟といえど非常に緊張する。

 

本来であればお布団様に包まれて至福の時間を過ごしているはずのこんな夜更けに、ほぼ初対面の身内を家に上げている私もかわいそうだが、なんとも言えない重くてぎこちない雰囲気を醸し出しているわ、話は弾んでないわ、目もあまり合わせないわ、な意味不明な姉弟に付き合わされた弟の彼女の方がよっぽどかわいそうである。

 

とはいえ一応家族なので、和やかに会話していた、ある瞬間までは。最近ギャンブルで稼いでいる職場の先輩に120%勝つ方法を教えてもらっている最中なので、近々金持ちになるのだ、と弟は生き生きと語った。

 

私はギャンブル嫌いでなおかつ感情を隠すことなくさらけ出す人間なので、一瞬でいやーな雰囲気になる。そんなのやめといた方がいいんじゃない、とひきつった表情でやんわり言ったが、俺は占い師に金持ちになる顔だと太鼓判を押されたし(特に耳が◎)、金がなくなるまで突っ走るのみ、金持ちになったら一千万円姉ちゃんにやるよ、とどや顔で言った。姉ちゃん、唖然。正真正銘のアホ降臨。

 

そんな簡単に金持ちになれるなら人間みんな金持ちだから。っていうか、彼女よ、こんなバカ男に大切な若い女の時間を捧げている場合じゃない。もっといい人探しなさい。

 

相当その場が緊迫したのでその後すぐに弟は気まずそうに帰っていった。23時半のことであった。一千万円はくれるならもらうけど、それはいつになるのか念書を書いてもらうべきだった。失敗した。それから夫には大人げないと叱られましたが私も同感です。