京阪電車に揺られて

その日の予定は道頓堀のかに道楽でカニを堪能するというものだった。それが気がついたら京都から大阪行きの京阪電車の揺られているというのは一体なぜか。

 

カニは食べた。前と違って焦らずじっくり会話を楽しみカニ身を丁寧にほぐして食べた。とはいえ、カニを堪能し終えたのは12:30ごろのこと。そのまま家に帰るには天気があまりにもよすぎた。それにカニを食べる一時間半だけのために化粧をしたわけではない。そんなもったいないことができるか。それで京都へ散り際の桜を見に行こうということになったのではなかったか。

 

普段、休みの日は大まかな予定を決める。なぜなら予定外のことが起きるとパニックになるからだ。たとえば何も予定がないことを予定していたのに突然義父からごはんに誘われるだけでもすごく嫌な気持ちになる。義父が嫌なのではなく、予定外のことが起きることが嫌なのだ。そんな私が予定なしに突然の京都。なんということか。

 

京都に行くことはまあなんとかなるというかなんとかするとして、問題は服装だ。私のこの日の予定は先述したとおりにカニを食べる事であった。京都を歩く出で立ちではないのである。レザーのレースアップシューズにアウターなしのニットだけで乗り切れるほど四月の京都は甘くないのである。

 

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日中は考えないようにしてやり過ごしたが、日が暮れるともう自分をだますことができなくなってきた。足は痛いわ、寒いわ。もったいないなんて思わずにさっさと帰っとけばこんなことにはならなかったのに貧乏性の自分が憎い。


だが、自分のことを憎んでいる場合ではない。目当ての韓国料理屋で焼肉という新たな目的に向かって日が暮れ寒さがひしひしと迫ってくる中、足早に歩く。無事お店があった。あたたかいお店でお酒を飲み肉をたらふく食べられると安心したその時、店のドアに貼られている張り紙。そこには「臨時休業」の一言が。私の事をばかにするのもいい加減にしろ。


京都で目当ての飲食店に行くと大抵臨時休業だの改装中だのとなっているのは一体なんなのだ。京都は人気なんだから休まず店を開けるんじゃないのか。

 

結局普通の焼肉屋で、思春期真っ盛りのアルバイト店員を雇うのも大変そうだなあ、店長と憂いながら、焼肉を食べたのだった。桜が綺麗だったので全てよしとしたいがそうも言ってられない気持ちで京阪電車に揺られていた。

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