ほとばしる母のエネルギー

還暦間近の母の勢いがすごい。年々しぼんで行くとは反対にエネルギーが倍々になっていっている気がする。本当に血がつながっているのか怪しむほどのそのほとばしる母のエネルギーは一体どこから湧いてくるのか。

 

母の身に何が起こっているのかというと、まず10年くらい前にミッドライフクライシスで母は爆発した。そしてどうなったかい言うと、ベリーダンスをはじめ見事にはまった。新しいことを始めたい気持ちは分からなくもないが、なぜベリーダンス。習うだけでは飽き足らず、実の娘としてはコメントしづらい際どい衣装を買い、身にまとい、職場の忘年会や野外イベントなどで腹を出して人前で踊り始めた。

 

その後、タブラという太鼓を始めた。一度私の前で叩いてくれた。まるで音楽になっていないというか、どう反応したらいいのか分からない出来だったというしか言葉が思いつかない。要するに下手くそというわけだ。オブラートに包もうと努力しても無理なくらい。

 

そんな母からバンドにスカウトされたからピアニストになります、と連絡が。もちろんすぐさま電話。どういうことやねん、と。還暦間近の母が、突然の、バンド活動デビュー発言。ピアノを習っていたのは半世紀も前の話のはずだったのに、ピアニスト。

 

母の老後のテーマは、「ライブハウスの近くに住んで仲間と音楽と酒を愉しむ」だそうだ。はじめて聞いた。かつて仕事一筋で友達付き合いなどしていなかった母。そんな今の母の友人は皆ミュージシャンらしい。ミュージシャンてどこで出会うんだ。私は割と都会に住んでるけどそんな人に出会わない。

 

気がかりなのは、母の老後に父の存在がないことだ。そのあたりを明確にしてはいけない気がするのだがエネルギッシュな母を目の前にして私ができることはただ見守ることだけ。我が母親ながらなかなかワイルドな青写真に戸惑うばかりである。

 

 

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母のために楽譜を探してあげる優しい娘はこの私です。ビートルズの楽曲を演奏するらしい。