自業自得が身に染みる

夫と電車に乗ると思いのほか混んでいた。私は夫と並んで座っていた。私の左横には通常の人間のお尻半分くらいの微妙な隙間があり、しばらくその隙間を埋める勇気のある者は現れなかった。

 

だが、そこにやってきた痩せ気味の男が遂にお尻をねじ込んだ。痩せ気味だからその微妙な隙間にすっぽりと収まり、居心地よさそうに座った。

 

その時の私の状態はというと、ほぼ座席には腰掛けておらず、何なら上半身がねじれているという状態であった。どうやら痩せ気味の男は余っていた隙間に収まったのではなく、先に座っていた私の席を鮮やかに奪ったのだった。

 

「私、体ねじれてる」と夫に小声で言うと、「何で背中を背もたれにつけてどっしり座ってへんねん、自業自得やから目的地までそうしとき」と叱られた。返す言葉も出てこない。ところで、私の席を奪った手口が知りたいのだが、一体どうやったのか。

 

そして夕ご飯はカウンター席のお店で食べた。割と客と客の間隔が狭いその店。左には巨大な夫、右には見知らぬ巨大な男にサンドイッチ状態で、またしても半身状態になっていた。精神的にも生きづらい世の中だと日ごろから痛感しているが、身体的にも生きづらい世の中になってしまったか。

 

そこでも夫は「何でカウンターテーブルにまっすぐ向いてへんの、自業自得やから大人しく食べとき」と私を説いた。電車に乗っていたときもそうだったが「何で」と聞かれて分かっていたら、こんなことにはなっていない。自業自得が身に染みる。

 

空間把握能力を会得することが急がれます。

 

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体をねじって食べたジェノベーゼ焼きそば。大葉がいい仕事してはった。