数年の時を経てようやく覚悟を決めた

めっきり涼しくなって、夫は風邪を引き、無事私に移すことに成功。夫のせいで風邪を引いたというのに、夫は私に遠慮することもなく毎日毎日無駄に早く出勤し、弁当を作るこっちまで無駄に早起きさせられてってしょっぱなから愚痴っぽくなってしまった。というのも、12月25日からクリスマス及び年末年始休暇に入ろうと思う旨を真剣に、かつ決定事項として夫に話したら「アホか」と一蹴されたから。私の真剣度合いが足りなかっただろうか。そんなにおかしな事を言っているのだろうか。

 

私の真剣な冬季休暇については後日改めて語るとして、一年の終わりが近づいてくると現れるのがそう、妖怪捨て魔。数日前、ビニール袋片手に洗面所を徘徊していたら、数年前に使っていたスプレー缶タイプのヘアスタイリング剤がほんの少しだけ残った状態で放置されているのを発見。しかも数本。

 

なぜ中途半端な状態のスプレー缶が何本も溜まっているのかというと、スプレー缶を捨てるのは結構厄介なのである。飽き性かつ不器用という性質の人間にとって、ヘアスタイリング剤を使い切ること自体、不可能に近いのだが、捨てるには必ず中身を使いきらなくてはならない。そして穴を開けるべきなのか、開けないべきなのかも分からない。どれをとっても面倒なので、数年前とりあえず放置したのだったと思う。

 

だが、私は数年の時を経てようやく捨てる覚悟を決めた。そして私はほんの少しだけ中身の残ったスプレー缶数本と中身を出し切るのに使うビニール袋や新聞紙などを手にベランダに出た。そして中身を噴射した。数秒後、私は聞いた。左人差し指がみしっと音を立てたのを。そして瞬間、光の速度で痛みが全身を駆け巡った。そう、私はすっかり忘れていたのだ。自分の握力や指の力が幼稚園児並みに異様に弱いことを。

 

だが私はやると決めた以上、最後までやる律儀な人間。痛む左人差し指でもって持てる限りの力を総動員し、何とか一本中身を出し切る事ができた。処分するまでたどり着いたのはいいが、全ての力を出し切ってしまったのか、数日たっても指及び腕の力がかなり貧弱。どれくらい貧弱かというと、オーブンからパウンドケーキを取り出せないくらい貧弱。

 

残りのスプレー缶は痛みが引き、腕力を取り戻してから取り掛かるしかないが、一本処分するだけでこんなにダメージを負ってしまうとなると、数本分のスプレー缶の中身を出し切った後、私に力が残るとは到底思えない。箸すら握れないかも。

 

夫にはいつもの如く呆れられるかと思ったが「気いつけや」と労いの言葉をかけてくれたので、「ありがとう、今度は指気を付けるね」と感謝したところ「お前ちゃう、近所に迷惑かけるのだけはやめや」ですって。くうぅぅぅぅ、相変わらず飴はもらえず鞭ばっかりや。