ある日の濡れ鼠

雨の日のこと。傘をさして狭い歩道を歩いていると、向かい側から人の群れがやってくる。少しでもお互いがお互いの邪魔にならぬよう傘を斜めにしてみるのだが、群衆はどうかというと、お互いがお互いの邪魔にならないようにしようという考えは全く持ち合わせていないどころか、まるで私の姿など見えていないかのように、もちろん傘を斜めにすることなどなく、ずんずん歩いてくるので、当然傘同士がバンバン当たり、私は濡れ鼠になった。

 

こういう人たちは、親から「人にされて嫌なことは人にするな」と教わらなかったのか。私の両親は放任だったが、それについては口すっぱく言われて育った。もしかして私が人にされて嫌なことが多いだけなのか。そうか私が悪いのか。と一瞬納得しかけたが、いいやそんなことはない。傘をぶち当てられ、濡れ鼠になって喜ぶ人間がどこにいる。だからたとえそれがただ道ですれ違うだけの人であっても、その人が濡れ鼠になるようなことはしてはいけないのである。危うく騙されるところであった。濡れ鼠になりたいなら自分で勝手になってろコノヤロウ。

 

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ブロッコリー嫌いが自ら進んでブロッコリーを食べる奇跡が起きました。