悲しみのあまり暴れる

悪夢だ。

 

図書館がコロナウイルス対策のため閉館しておよそ二週間。毎日のように「あと〇日寝たら図書館に行くんだ」とカウントダウンし、「閉館を延長します」などと言い出さないかどうかチェックに励み、おかげで肝心の読書には全く精が出ない、という事態にはなってしまったことには心を痛めているが、でもやっと開館の日がやってきたのだ。

 

またいつ閉館すると言い出すか分からないので、たくさん借りても大丈夫なようにリュックサックを背負い、前回借りて読み切った本や間違えて借りた本などをリュックサックに詰めこんで意気揚々と家を出て、天にも昇る足の軽さで図書館に入ろうとしたら「閉館を延長します」の張り紙が貼られていた。

 

図書館の前で悲しみのあまり暴れるという選択肢があったかと聞かれれば、私の横で既に私と同じくこの日を楽しみにしていたと思われるおじいさんがこの世の終わりかのごとく立ち尽くしており、「酔っぱらった人がいると酔っぱらえない」の原理と同じで、おじいさんがあまりにも悲壮感を漂わせているので、本当は入り口のドアを叩き破ってやりたいほどの衝動と悲しみにどう気持ちの整理をつけたらいいのかも分からなかったけれども「私は読み終わった本を返しに来ただけだから。引き続き閉館になることなんて知ってたから。別に悲しくなんてないから」と私には平静を装うことしかできなかった。

 

二週間後に開館するということだが、信じたらまた裏切られて悲しむだけなのかもしれないので、あまり期待しないでおこうと思う。けどやっぱり期待してしまうのでまた悲しむことになるのだろう。次の開館する日を希望の糧として、おじいさんも生きて欲しい。私も頑張るから。

  

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