呪われた日々 パート2

昨日に引き続き呪われた日々について綴る。

 

その夜夫はいなかった。時間は夜9時。もう布団に入る時間ではあるが、どうしても何か甘いものが食べたくてたまらない、そんな夜だった。

 

冷凍庫にフィナンシェがあることを思い出し、電子レンジに入れ、温めることにする。温めている間、私夢中になって見ていたのはデスパレートな妻たち。そして温め終わったことを知らせる音が鳴り響いた瞬間、私は思い出したのだ。30秒温めるところを3分温めてしまったことを。

 

電子レンジを見やると目についたのは電子レンジからもうもうと溢れ出る煙。その瞬間、「詰んだ」と確信した。夫さえいれば、全てを押し付けることもできたのに、家にいるのは私一人で、ということはどうにかしなくてはならないのは私自身である。

 

電子レンジを開けると焦げ臭いにおいに襲われる。急いで窓を全開にする。そして夫に電話をかけたのだ。「やばい!やってしまった!」私は夫に説明した、というか叫んだ。夫はというと「換気扇は回したか」(回してなかった)→「皿の上に乗せたのか」(乗せていなかったのでラップがドロドロに溶けている)→「ラップを綺麗に取り除かないと毎回ラップが溶けてよくない」(すぐに取り出す)などということをとんでもなく冷静に質問したり教えてくれたりした。あなたさえいれば。

 

この日、寝る前にコソコソとフィナンシェを食べようとするからこういうことになるということと、うちのキッチンについてる探知機はとんでもない量の煙が発生してもうんともすんとも言わないことが判明した。もし探知機が作動し、何台もの救急車が押し寄せ、近隣住民に迷惑がかかることになっていたかと思うと作動しなくてよかったが、今後作動することがあるとしたらその時はもう手遅れになっている時ということである。結果的にそれでいいのかどうかは今は何とも言えない。

 

そういう事情で大参事には至らなかったが、リビング中が煙臭くてしょうがない。洗い立ての髪の毛もだ。その日はとりあえず家中の窓を開け、扇風機をフル稼働させ、煙くさい髪の毛のまま、翌朝には煙くささがなくなっていますようにと一抹の期待を胸に就寝した。 

 

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炭です。