日暮れの散歩

日が暮れてから日課の散歩に出かける。この日課がなかったら、四月の緊急事態宣言以降、スーパーと図書館と整体に出かける以外にほとんど出歩かない生活を送っている私はきっと肉まんじゅうになり、そして身体の節々や筋肉が痛いと文句ばっかり言っていたことだろう。

 

肉まんじゅう回避のためにその日も張り切って歩いていると、なんだか靴の裏がぐにゅぐにゅする感覚がすることに気づく。アレか。また犬のアレを踏んずけてしまったか、私。

 

おそるおそる靴の裏を見ると、そこにあったのはアレではなく、ガムらしきべちょべちょした物体なのだった。アレよりは全然マシであるが、なんで私はこうもいろんなものを踏むのか。

 

幾度もアレを踏んだ私であるから、その経験から学んでいないわけはもちろんない。普通の人よりも下を見て注意して歩いているのである。それはもう、祖母が元気だったら「そんな下ばっかり見て!お金が落ちてるのかね!卑しい子だねえ!」と怒られ、その祖母の言動に「私の子供にそういうことを言うな!」と母が怒り、母娘喧嘩が勃発し、自分のせいで喧嘩を始めた祖母と母を目の前に居場所がなくてどこかに逃げたくなるくらい、下を見て歩いている。

 

なのに、である。とはいえ、今回はガムであったのでそこまで取り乱すことなく家に帰り、ガムをとろうとよく靴の裏を見ると、そこにへばりついていたのは黒ごま。そしてぐにゅぐにゅの犯人は米粒。そう、私が踏んだのは黒ごまおにぎりなのだった。

 

誰だよ、歩道で黒ごまおにぎり食べようとして落としてそこに放置したのは。ああ、憎い。アレじゃないから許されるわけじゃないからな。

 

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こんなものばっかり食べてるから肉まんじゅうになるんだぞ、というご意見は受け付けておりません。