父の興奮

父から突然の電話。父から電話がかかってきたことは、高校生の時にビンタされて家出した時に100回くらい電話をかけてきて、全部無視したら留守電に「…ごめん」と一言入っていた時くらいなもので、母が死んだか、と思って急いで電話にでると、母はもちろん死んではおらず、いとこの結婚が決まったとのお知らせであった。

 

父は甥や姪が結婚すると聞くと異常に興奮するらしく、10年以上前に別のいとこの結婚式に海外出張で欠席することになった父の落ち込みようには正直かなり引いた。

 

今回の興奮度合もひどいもので「『うちは親戚が少ないから家族全員で結婚式に出席するから』って言っておいた」と私や母にお伺いを立てるということもせずに勝手に伝えたとのこと。もう一つ、「親戚が少ないから」というのは真っ赤な嘘である。父側の親戚は一般的には多いほうである。どれだけ親戚でテーブルを埋めたいのか。

 

その後も興奮気味に自分は早産で生まれたがここまで無事に生きてきたというようなことを一方的に喋られ、若干ぐったりして電話を切った後、父からSMSが届いていることに気づいた。受信時間は電話をかけてくる1分前である。「なつ子さんのけっ」という未完のメッセージと共に「結婚式で感動する曲」というYouTubeの動画が送られていた。

 

さすがに怖くなって母に電話をすると、母は「さっきお父さん、なつ子ちゃんの結婚が決まってった大騒ぎして勝手に私の部屋に入ってきて勝手に私のベッドに座って屁こいたんだよっ腹立つ」と怒っていた。私たち結婚式に出席することになってるよ、と教えるとさらに怒っていた。

 

一緒に住んでなくてよかったと心の底から思う残暑の夜。

 

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