捨てると捨てないの攻防戦
我が家ではしばしば捨てたい私の欲望と捨てたくない夫の執着心の熱い戦いが繰り広げられる。そんな捨てたい欲望の塊の私が唯一捨てられないものはティッシュ。気がつくと鼻水を一滴拭いたくらいのティッシュがそこら中に置いてある。今ざっと部屋を見渡しただけでも机の上に二枚、ソファの上に一枚、私の着ているフリースのポケットに一枚。
なんでこんなことになるのかというと、まず鼻水を拭きまして、そうするとそのティッシュの95%はまだ使える状況にあるわけです。なのであとでまた鼻水を拭こうととっておくのです。少し時間がたってから鼻水を拭こうと思いまして、「少し時間がたって」ということは先ほどの95%使える状態のティッシュの存在は忘れ去られておるので、新しいティッシュで鼻を拭くわけです。そして新たに95%使えるティッシュが生まれる、そういうシステムなわけです。そして今合計四枚もの95%使えるティッシュが存在しているということは、三回も「また使おうと思っていたティッシュ」の存在を忘れて新しいティッシュを使った馬鹿がこの家にいるということも浮き彫りになるのです。
そんな馬鹿がひたすら生み出す中途半端に使われたティッシュをいたちごっこのように見つけては捨て続けているのが夫。基本的に捨てたがらない派の夫は、「まだ95%使える状態のわざとそこに置いてあるティッシュ」をなぜか「使用済みのモモコが捨てずにそこら中に放置してあるティッシュ」と判断するくせがあるようで、まだ使えるティッシュをどんどん捨てていく。そして私はその使えるティッシュがゴミ箱に捨てられているのを発見し、ゴミ箱から救出する。これもまたいたちごっこなのだ。
そうやってティッシュは簡単に捨てるくせに他のものはやはり捨てたがらない。今朝は、靴箱にずっと置いたままになっているシューキーパ―を捨てていいか聞いたら「これは靴磨きの時に使うから捨てたらアカン。俺は何でもかんでも捨てる人間とちゃうねん。だからお前のことも捨てないんや。よかったな(大意)」と独自の理論でもって興奮気味に話した。
そうか、だから私捨てられてないのかということと、いつか私がティッシュみたいな存在になった時には速攻捨てられる運命にあるということがよく分かったような分からないような。
夫が全力で作った埴輪。乾かして焼きあがったら職場のデスクに置いてや、とのことです。困る。